アートはもっと気軽でいい!ーアートプロジェクト・TERATOTERA
はじめに
私たちは、アートプロジェクト・TERATOTERAのボランティア(=テラッコ)として活動されたお二人の方にインタビューを行いました。
「文化・芸術が人の暮らし・社会に与える影響とは何か」という問題意識の下、文化・芸術が人の暮らしや社会に与える影響や「人の集まる場」において持つ意味、人々からの捉えられ方を探りたいと考えました。
そこで、武蔵野市を舞台の一つとして展開していたアートプロジェクト・TERATOTERAに目を付け、ボランティアとして携わっていた方にお話を伺い、アートと社会・人々の関係についての捉え直しを図りました。
▶︎テラッコ経験者・吉田さんのインタビュー記事はこちら
▶︎テラッコ経験者・都賀田さんのインタビュー記事はこちら
TERATOTERAとは?
TERATOTERAは、東京都とアーツカウンシル東京と、小川希氏が代表を務め、吉祥寺に拠点を置いて現在進行形の芸術をフィーチャーしている一般社団法人Ongoingが協働して、2009年から2020年までJR中央線高円寺駅~吉祥寺〜国分寺駅区間をメインとした東京・杉並及び武蔵野、多摩地域を舞台に展開した、地域密着型アートプロジェクトおよびその発信機関の総称です。(公式HPより)
公式HP:https://teratotera.jp/
Twitter:@teratotera
テラッコ経験者のインタビュー
次の記事からはTERATOTERAでボランティア活動をしていた方二人のインタビューを載せています。お二人のインタビューのキーワードを図にしてみました。
ゼミ生の感想
高瀬
TERATOTERAプロジェクトの活動について、都賀田さんは「生活の場にアートがハプニングのように入り込んでくる」と形容されていました。
現在でも、アートというとどこか非日常の空気感を感じたり、美術館などへ「見に行くもの」というイメージが強いように思われます。しかしそれとは対照的に、TERATOTERAプロジェクトでは、人々の日常の中にポッとアートの仕掛けが現れます。アートに興味のない人も、そのような活動をちらりとでも目にすることで無意識のうちに心に何か動きがあるかもしれない。そう、都賀田さんはお話しされていました。
このお話を通じて、アートというものの持つ力について私自身がもう一度考え直すことの大切さを感じました。アートとは「こういうもの」「こういう力・意義のあるもの」と定義できるものではない。しかしその曖昧さを受け入れることで、人々の中に多様な反応を生み出すことができるのではないかと考えました。
髙山
「自分が住んでいる地域だからこそ、本気で取り組める」。吉田さんのお話の中で最も印象的だった部分です。アートのもたらす「普段目にしたことのないモノ」や「新しいものの見方」が、人々の心を動かすという信念をお持ちの吉田さんだからこそ、その地域の「普段」や「既存」を知るために移り住まれたのかなと想像します。これを聞いて私は、武蔵野という場所に対する関わり方を見つめ直さずにはいられませんでした。
私にとって武蔵野市は買い物くらいでしか訪れたことの無い場所で、あまり馴染みがありません。そのような状態で調査を進めるうちに、実感を持って武蔵野について話せていない自分に気がつきました。「武蔵野」と聞いて私の頭に思い浮かぶのは、駅から広がる街の地図。そこに誰かの顔は見えません。しかし、場所こそ違えど地域に飛び込み住み込んだ吉田さんは、街の「あの人」の顔を思い浮かべながら、日々活動していらっしゃったのだと思います。だからこそ、街の人が面白がってくれるモノを生み出されたのではないかと想像します。
まちで何かするには、まず自分がまちの一部にならなければならない。大事なことを教えていただいたインタビューでした。
福田
都賀田さんのお話で印象的だったのは、「あくまでも働きかけるのはひとりひとりに対してだけれど、ひとりひとりに対して面白いことをすることで、そんな面白いことが生まれるまちを好きになってほしい」という都賀田さんの思いです。
「まちを好きになる」ことを全面に押し出すのではなく、ただただ面白い活動を面白いと思うままにしていくことで、その面白い活動が行われている地域が好きになるかもしれないという考え方は、人と地域の結びつきを考える上で役に立つものだと思います。
地域性というものを意識しすぎなくとも、何をやるにも”where”は付随してくるものだと思うと、ただ自分が面白いと感じることをやることが結果的に地域にも繋がるのだと感じました。
鈴木
「アートは誰でも享受できる」という吉田さんのお言葉が心に残りました。吉田さんのお話を聞くまで、私自身どこか「アート」に対する緊張感や堅苦しさを感じており、その「意義」や「影響」などについて壮大に考えすぎていました。しかし、吉田さんのお話から、もっと「アート」を気軽に捉えていいのだと思うようになりました。これからは面白い表現を楽しむ、異なる視点を知るというように、「アート」を自由に・気軽に享受してみようと思います。